浅間大社楼門前の馬場側の石段の真ん中に鎮座しているのが鉾立石(ほこたていし)です。かつて山宮浅間神社までお祭りに行く際に、この石に鉾を立てて休んだあとは山宮につくまで鉾を地につけることは許されなかったということからその名がついたそうです。
ところでこの鉾立石にはセメントで接いだあとがあるのにお気づきでしょうか?
かつて区長だった方よりうかがった話です。
その町内の青年が酔って浅間大社を通りかかった際に鉾立石を持ち上げられるかどうかという話になり、寄ってたかって持ち上げたそうです。しかしあまりの重さに耐えかね取り落としてしまい、石は割れてしまいました。権宮司が区長の所に怒鳴り込んできたのも当然のこと。いわれのある大事な物を損なうとはとんでもないことで、元に戻せと迫ったそうです。しかし割れた物は元に戻るわけもなく困った区長は「元に戻す方法があるのならぜひあなたがやってみて下さい。」と返答しよけい怒りを買ったとのこと。
結局、割れた石はドリルで穴を開け鉄筋を通してセメントで継ぎ目を埋めました。鉾立石前の石段には今でもその時に出来た傷が残っています。
※この鉾立石を落として割ったのは実は怒鳴り込まれた町内ではなく隣の町内の青年だったとのこと。とんだ濡れ衣ではありますが、ふだんの青年の行状から区長も反論のしようがなかったのでしょう。
参考文献
袖日記 大宮浅間秋祭り夜噺 囃子方の弁 富士宮囃子1 富士宮囃子2
加藤長三郎氏講演 笛今昔 秋祭り 英文解説
伝説・こぼれ話